セキュリティクリアランスとはどんなもの?制度について分かりやすく解説

インターネットに関する技術が進歩すると共に、国や機関を問わずセキュリティリスクに関する意識や制度改革の必要性が高まっています。しかし、新しい技術や制度の中には名前を聞いてもどんなものなのか想像がつかないものも存在します。そこでこの記事では、今話題になっているセキュリティクリアランスについて紹介しています。今世界中で注目されている制度なので、ぜひこの機会にセキュリティクリアランスについて理解を深めてみてはいかがでしょうか。

セキュリティクリアランスを理解してみよう

セキュリティクリアランスとは、安全保障を始めとした国家機密に関する情報にアクセスできる人を限定する制度のことです。昨今ではあらゆるセキュリティ情報がインターネット上を飛び交っており、その隙間を狙って情報を盗み見ようとする犯罪者が台頭している状況になってしまっています。

加えてセキュリティに関するヒューマンエラーも深刻で、環境によってはどこでヒューマンエラーが発生したのかが掴みきれていないことも珍しくありません。そこで発生するセキュリティリスクを限りなく無くすために、情報にアクセスできる人を限定するという試みが行われています。

セキュリティクリアランスに指名される人材

セキュリティクリアランスに指名されるのは、政府が独自調査によって信用性が確保できる人材のみになっています。その調査方法や選定基準などは公開されておらず、誰がセキュリティクリアランスの人なのか知る方法はありません。

なぜならセキュリティクリアランスとは、重要な情報にアクセスできる人材を限定することでセキュリティレベルを高くする制度だからです。そのため、セキュリティクリアランスに選ばれる人材は政府機関に所属している人だけでなく、民間企業も対象者に選ばれることがあります。

セキュリティクリアランス対象外の人とは

セキュリティクリアランスとは、インターネット上だけでなく国外にも知られたくない情報を秘匿する意味があります。そのため、セキュリティクリアランスの該当者は自国民に限られており、留学生や在留ビザを持っている人は対象外になっています。また、セキュリティクリアランスとは、国家の存続に関する情報を扱うことになるため、身辺調査で信用に難ありと評価された場合は対象外になります。

セキュリティクリアランスを導入している国

セキュリティクリアランスとは、安全性の高い制度として知られているため、以下の国々で導入されています。

  • アメリカ
  • イギリス
  • カナダ
  • フランス
  • オーストラリア

また、日本でも既存のもので同じような制度が存在しましたが、2025年から本格的にセキュリティクリアランスの導入が決定しています。セキュリティクリアランスに選ばれる人材の適正評価に関する情報が取りまとめられています。

セキュリティクリアランスの問題点

セキュリティクリアランスとは、機密情報を取り扱える人材を限定することでセキュリティレベルを上げられるメリットがありますが、問題点もあります。それは人材確保のためのコストが増大することです。また、長期の審査期間が必要になる上に、セキュリティクリアランスで扱える情報も慎重に選定する必要があります。そのため、一部ではセキュリティクリアランスの必要性を疑問視する声もあり、日本でも導入前は再三に渡り会議が行われていました。

それでもセキュリティクリアランスの導入が決定したのは、諸外国と比較して日本のセキュリティレベルの低さが目立ったからです。

まとめ

セキュリティクリアランスとは国家にとって重要な情報を扱える人材を限定することで、情報の漏洩や盗難などを未然に防ぐための制度です。セキュリティクリアランスに選ばれる人材は、長期間身辺調査をされる上に公開されることはありません。しかし、これらのメリットとは別に導入コストが掛かりすぎるなどのデメリットもあるため、日本だけでなく各国でも導入は慎重に行われています。